コインは人間の移動より先に世界を旅していた。古代地中海から明治の旧二十円金貨まで、来歴という概念が市場でいかに価値を生むかを問う号。
旅するコインが手元に届いたとき、あなたはその旅の最後の停留所です。 でも同時に、次の旅の出発点でもあります。
コインは、人間の移動より先に世界を旅していました。ローマの金貨が絹の道を東へと渡り、インドの港に流れ込み、漢の商人の手に渡った。
アレクサンドロス大王のドラクマ銀貨を初めて手に取ったとき、この貨幣がアジアに達した遠征軍の兵士たちの給与だったという事実が、物質として伝わってきました。
元航空会社勤務・老嶋昌彦さんは、各国の空港で少額のコインを数枚ずつ持ち帰ることを30年間続けていた。退職後に整理を始めたとき、棚に眠っていたコインの数は700枚を超えていました。
明治4年の新貨条例は、日本の貨幣史における最大の断絶のひとつです。金本位制に基づく統一通貨「円」が誕生し、幕府時代の旧通貨体制は終わりを告げました。
コレクションを「持つ」ということと、コレクションを「理解する」ということは、異なる行為です。一枚ずつのコインが何を意味し、なぜその1枚がコレクションの中にいるのかを語れるか。